日本人と自然美学 南方熊楠と曼荼羅より 自然学トーク

2012.09.18

9月15日(土)13:00〜16:00滋賀県立近代美術館にて「自然学|SHIZENGAKU-来るべき美学のために-」のトークイベントが行われました。

1部は企画展示室において出品作家が登場してのギャラリートークが行われました。出品作家は石川亮、西久松吉雄、宇野君平、岡田修二の4氏が参加し、自然学というテーマに沿った作品の制作意図が詳しく紹介され、46名の参加者は熱心に作家の解説に聞き入っていました。

2部はゲスト講演者として比較文化をご専門とされる国際日本文化研究センター教授の稲賀繁美先生にご登場いただき、「日本人と自然美学 南方熊楠と曼荼羅より」と題した基調講演が行われました。南方熊楠は明治39年に布告された神社合祀令に対して、「鎮守の森」を守ろうと反対運動を起こし、自然保護運動の先駆けとして評価されているが、稲賀先生は熊楠が粘菌学において国際的に研究者として活躍したが、その思考の源は華厳経の思想や曼荼羅の世界に通じると述べられ、「心と物がふれあうことによって事がおこる」という熊楠の思想を中心に話が展開されました。

後半は一即多、多即一すなわち、一つの水晶のような物質が個として無数に集まり、その個が周りのすべてを映して一つとなるような世界を華厳経でいう曼荼羅の世界であるとし、その世界を表現していると考えられるジャクソンポロックや金山明などの現代アート作品が紹介されました。

その後、ギャラリートークで登場した出品作家とのトークが行われました。その中で、心と物が融合するとき、日本では「惣(そう)」という漢字になる。これは中世の自治集落である「惣村」を意味し、里山という自然の中で厳しい「掟(おきて)」とともに人々と物(自然)が一体となって暮らしている理想の姿が見えてくると非常に興味深い話も出てきました。

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国際日本文化研究センター教授の稲賀繁美先生

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会場の様子

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出品作家とのトーク

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