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    木村至宏×石川亮「山即湖(やまそくうみ) 湖即山(うみそくやま)」

    2011年10月28日(日)- 11月8日(火)12:00–18:00

     

    概要

    本展は、木村が語ってきた近江の言葉を軸にして、石川が山と湖という地形に起因する近江の風土に着目して作品を制作。テキスト自体をも展示し、山のフォルムを題材にした蓄光インクの平面作品とインスタレーションを行う。歴史テキストと現代美術の出会い。

    近江の国は中央に琵琶湖が、そしてそれを囲むように山々が連なる。山々からは、人々のくらしを根本で支える命の水が流れ出し、琵琶湖へと注ぐ。その恵みの源流である山には神が宿り、人々が畏敬の念をもって祈りを捧げる。そこに近江固有の文化が育まれ、山と湖の存在こそが近江文化の根源であり、そのものである。近江学研究所初代所長、木村至宏はこのように近江を語ってきた。 現代美術家石川亮は山と湖という地形に起因する近江の風土に着目する。石川は2004年の「全体駅」シリーズに始まり、2007年の「全体水」、そして近年の「どこ社」など発表した作品の中に一つの大きなテーマを持った。無数の個が一つの集合体をつくって「個」となり、その個が複数集まってまた大きな「個」ができる。この大小の「個」の関係は、限りなく小さくも、大きくもなり、そしてそれは無限に繋がり一つである。仏教ではこれを「一即多 多即一」というが、石川の表現の深層にはこの思想が流れているのである。 今回の「山即湖 湖即山」と名付けられた展覧会は、木村が語る近江を石川が表現した。近江は有史以来、それぞれの時代に歴史の舞台となってきた。それゆえ全国で4番目という多くの文化財を保有する。日本仏教の母山である比叡山や湖上交通を支えた琵琶湖を抜きに近江を語ることはできない。近江の根本は山であり湖である。そして山も湖も一つとなって近江という「個」になるのである。(文:成安造形大学附属近江学研究所研究員 加藤賢治)

    出品者プロフィール

    木村至宏(附属近江学研究所所長/本学名誉教授)
    石川亮(作家/本学非常勤講師)

    木村至宏 (きむら よしひろ)

    1935年滋賀県生まれ。大津市史編纂室室長を経て、大津市歴史博物館初代館長。1996年成安造形大学教授、2 0 0 0 年同大学学長に就任。2 0 0 8 年成安造形大学附属近江学研究所初代所長を併任。2009年成安造形大学附属近江学研究所所長・同大学名誉教授。 滋賀県を研究のフィールドとし、道のもつ文化・人々のくらしと文化・近江の歴史と文化を軸に日本文化史を専門。また、県下の多くの自治体史の編集とともに県をはじめ、県下の文化・景観行政にもかかわる。

    石川亮 (いしかわ りょう)

    美術家 1971年生 交通インフラやそのシステムの興味から作品制作を始める。近年は神仏にゆかりのある地に出向き、その場所の持つ性質やルーツを探ることが作品制作になっている。代表作に「全体駅」「どこ社」。近作に近江の湧水を集めた「全体-水」。神仏に所以のある山を題材にした「日出山・日入山」がある。 2010年本学地域連携推進センター職員。2010年大津市景観重要広告物及び景観広告賞のワークショップ、審査に携わる。