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    仰木 水と記憶のコスモロジー

    2011年10月23日(日)- 11月27日(日)12:00–18:00

    棚田水系調査

    概要

    里山には、人と自然の有機的なつながりと、遠大な時を越えて生き続けるコスモロジー(宇宙像)があります。ゆるやかな時の流れの中で、豊かな知恵と技術に支えられた暮らしの記憶が今も鮮明に生きています。 今回の企画展示は、附属近江学研究所と地蔵プロジェクトのそれぞれが、水・記憶・音をテーマに、滋賀県大津市仰木で取り組んできたフィールドワークと聞き取り調査に基づく3つの研究成果の一端です。

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    「水と暮らし|附属近江学研究所 (大岩剛一・永江弘之・加藤賢治・蔭山歩)」 2010年度近江学研究「里山~水と暮らし」 第1期「水系からみる集落の空間構成・景観要素に関する研究と聞き取り調査―大津市仰木地区―」 里山は、水と暮らしが有機的に結びついたコミュニティです。 本研究は、水系をたどることで棚田の循環システムを明らかにし、合せて命の源である水と、そこから生まれたさまざまな信仰から住居の意味を浮き彫りにする試みです。 水のコミュニティと、民家の記憶をめぐるフィールドワークといっていいでしょう。

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    「里人の記憶|附属近江学研究所 (永江弘之・大岩剛一・加藤賢治・蔭山歩)」 2011年度近江学研究「里山~水と暮らし」 第2期「生活聞き取り調査 および 仰木ふるさとカルタ制作」 思い出や記憶とは単に頭で覚えているできごとではなく、身体感覚から湧き起こり、心身に満ちる「体験をした”その時”」を生き生きと再現してくれるものです。 本研究では、60歳から90歳代の里人の皆さんに「仰木ふるさと五感体験アンケート*」や「聞き取り調査」へご協力いただき、個人を越えた仰木集落の記憶、土地の記憶と呼べるような言葉を収集してきました。固有でしかも普遍的なふるさとの記憶は、世代や地域を越えてみなさんの心にどのように響くのでしょうか? 今後、多くの人が視認し、共感できる心象絵図「仰木ふるさとカルタ」を制作します。 *五感体験アンケート:本研究にご協力いただいている上田洋平氏(心象図法の提唱者/滋賀県立大学 地域づくり教育研究センター研究員)の考案

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    「音のコスモロジー|地蔵プロジェクト(穴風光惠・蔭山歩・谷本研・中村彰宏・元木環)」 2010年度近江学研究所助成事業「仰木サウンドアーカイブ・プロジェクト」 仰木集落の中で耳を澄ませると、人や自然が織りなすさまざまな「音」が息づき、からみ合い、暮らしや文化をかたち作っていることが感じられます。 この展示では、地蔵プロジェクトよる調査の記録・成果をもとに、「音頭」「太鼓」「ことば」「わらべ唄」などの音によって、「仰木」という世界の再構築を試みます。

    出品者プロフィール

    地蔵プロジェクト

    2000年 成安造形大学による仰木地域のフィールドワークを実施するプロジェクトとして発足。大学の公式プロジェクトとしての活動が終了した後、2003年から現メンバーを中心とする有志により独自の活動を継続。地域と関わりながらさまざまな記録調査や企画を展開中。2010年度 近江学研究所助成事業を受け「仰木サウンドアーカイブ・プロジェクト」を実施。