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2015 秋の芸術月間 セイアンアーツアテンション VOL.7
「MUSUBU SHIGA 空想 MUSEUM -近江のかたちを明日につなぐ-」

 滋賀の歴史 風習 習慣は、この大きな湖へと流れるたっぷりと栄養を含んだ水が血液のように流れ循環している。土地の地形へと導かれ人々は暮らし、生業や営みが生まれ繰り返し伝わる。太古から湖を中心に、周囲には智が存在する。海に似たその存在はまるで大海の世界のよう。陸に渡るとそこに様々な辺境の暮らしが存在する。西へ南へ。東へ北へ。民族があらゆる地から恵みを求めここへとたどり着いたかのように、琵琶湖とその周辺には民族の相互関係がある。様々な土地の個性的民族の集積こそが滋賀県なのである。

服部 滋樹(滋賀県ブランディングディレクター)




 滋賀県は、琵琶湖を中心として山々に囲まれ、そこから湧き出る豊かな水によって様々な営みが連綿と繫がってきました。衣食住を支える伝統産業や、暮らしの中に見られる祭礼や古い慣習などがその痕跡として今に受けつがれています。
 そのような風習に目を向けると、「結(ユイ)」というキーワードが自然と浮びあがってきます。かつて集落においては、家と家が共同する組織として「結」というつながりで結ばれ、屋根の葺き替えや壁の補修など必要に応じて協力しあってきました。また、火祭りで知られる松明は、農作業に必要なわらの結び目「結」を伝継するものとして大切に伝えられてきた祭事でもあります。さらに、琵琶湖の水運としての水の道と、その周辺を網の目のように繫がる街道は、人と人、人と物、そして文化を結んできました。
 セイアンアーツアテンション VOL.7「MUSUBU SHIGA空想MUSEUM-近江のかたちを明日につなぐ-」と名付けられた本展では、滋賀県共通の風土として根づいているこの「結」に焦点をあて、成安造形大学 附属近江学研究所のこれまでの活動の中で培ってきたコンテンツや成安造形大学 地域連携推進センターの連携活動で生まれた成果物、そして、滋賀県のブランディングを推進する「湖と、陸と、人々と。MUSUBU SHIGA」のリサーチをもとに6つのカテゴリに分けながら、新しい近江の姿を浮き彫りにすることを試みました。また、本展に向けて立ち上げたプロジェクト授業では、本学学生が滋賀県ブランディングディレクター服部 滋樹氏の指導のもと滋賀県をリサーチし、未来へ残したい滋賀のカタチを各々の視点で見いだしました。
滋賀をフィールドとして未来へつないでゆくべきカタチを提示し、新しい価値の発見と創造につながることを願います。
*セイアンアーツアテンションは、成安造形大学が運営する「キャンパスが美術館」のメイン企画として、全てのギャラリーや学内各所を舞台に開催する総合芸術祭で、今回で8 回目となります。

成安造形大学【キャンパスが美術館】



         

2015 秋の芸術月間 セイアンアーツアテンション VOL.7
「MUSUBU SHIGA 空想 MUSEUM – 近江のかたちを明日につなぐ-」

会  期|2015 年10 月31日(土)― 11月29 日(日)
休  館|11 月11 日(水)、12 日(木)、28 日(土)
時  間|12:00-18:00 入場無料
会  場|成安造形大学【キャンパスが美術館】
主  催|成安造形大学【キャンパスが美術館】、滋賀県
共  催|湖と、陸と、人々と。MUSUBU SHIGA ( 滋賀・びわ湖ブランドネットワーク)
展示監修|服部滋樹(滋賀県ブランディングディレクター)
助  成|平成27 年度 滋賀県地域の元気創造・暮らしアート事業(「美の滋賀」創造事業)、
     平成27 年度 文化庁 文化芸術による地域活性化・国際発信推進事業
後  援|滋賀県教育委員会、大津市、大津市教育委員会、文化・経済フォーラム滋賀
協  力|アインズ株式会社、井上仏壇、魚治 湖里庵、大津絵の店、
     大津市教育委員会文化財保護課、カフェテリア「結」紀伊國屋、
     草津宿街道交流館、株式会社 まっせ、暮らすひと暮らすところ、
     graf、commune、権座・水郷を守り育てる会、THEATRE PRODUCTS、
     滋賀県真珠養殖漁業協同組合、滋賀県農政水産部水産課、信夫貝釦製作所、
     神保真珠商店、成安造形大学 地域連携推進センター、
     成安造形大学 附属近江学研究所、たねやグループ、中川木工芸比良工房、
     平尾 里山・棚田守り人の会、文化遺産としての松明を次世代へ贈る会、
     丸三ハシモト 株式会社、有限会社 川内倫子事務所、有限会社 成子紙工房、
     有限会社 ヤマタツ陶業、養覚瓦店、和ろうそく 大與 and more

服部 滋樹(滋賀県ブランディングディレクター)

graf 代表、クリエイティブディレクター、デザイナー。
美大で彫刻を学んだ後、インテリアショップ、デザイン会社勤務を経て、1998 年にインテリアショップで出会った友人たちとgraf を立ち上げました。建築、インテリアなどに関わるデザインや、ブランディングディレクションなどを手掛け、近年では地域再生などの社会活動にもその能力を発揮しています。
www.graf-d3.com

湖と、陸と、人々と。MUSUBU SHIGA

滋賀県に培われてきた魅力をより県外へ、世界へと発信しブランド力を高めていく為に発足されたプロジェクト。本プロジェクトのブランディングディレクターとして、graf 代表の服部滋樹氏が就任。ソーシャルデザインの視点から、滋賀県の魅力ある「ヒト・コト・モノ」を発見し、むすびあわせながら滋賀県の“これから” をみなさんと考えます。
www.musubu-shiga.jp

成安造形大学 附属近江学研究所

近江の文化・風土と、芸術の持つ創造精神を結びつけ、新たな可能性を探求する研究機関です。地域に根づく文化・風土の調査研究など、多岐にわたり活動しています。研究者、作家、職人、クリエイターの公開講座や展覧会、デザイン性を重視しながら近江文化を多角的に捉える「文化誌『近江学』」の発刊、近江学フォーラム運営など社会に近江の魅力を発信しています。

www.seian.ac.jp/omi

カテゴリー

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1. 歴史

 『あらゆるものを結ぶ「結」』@バスストップギャラリー

巨大なヨシ松明を奉火することで知られる、近江八幡の春を彩る火祭り。そんな近江八幡市千僧供町に伝わる「華鬘(けまん)結び」を展示します。松明のヨシを束ねるわら縄の結び目は、農作業に必要なわらの結び方を継承するものとして滋賀県全域に伝わり、大切......
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2. 近江学の現在

 『道の国の浮世絵コレクション』@聚英館1Fロビー
『近世のかたちを今に伝える「小幡人形」』@聚英館1Fロビー
『不易流行、時代とともに受け継がれて来た街道の民画「大津絵」』@スパイラルギャラリー1F
『先祖を大切にする心「仏壇のお洗濯」』@スパイラルギャラリー2F/ギャラリーキューブ
『MUSUBU 地図』@I棟1F総合受付

琵琶湖の周囲をめぐる旧街道では、様々な人とともに様々なものが行き交うことで、文化が育まれてきました。附属近江学研究所で検証されてきた「もの」はそんな過去からもたらされ、未来の暮らしに活かさねばならないものたちです。琵琶湖を舞台に活躍してきた......
eye_biwa

3. 資源と営み

 『ビワパールまるごとブランディング事業』@E102
『松明』@ガーデンギャラリー

今回、展覧会のシンボルとして、ガーデンギャラリーに巨大なヨシ松明をつくります。また、琵琶湖に抱かれる豊かな資源の中に、淡水真珠があります。ピンク・ローズ・パールとフランスで紹介されたこの真珠は、歪んだかたちと変化に富む美しい色合いが魅力です......
eye_shiga_sab2

4. 人々

『川内 倫子』@ギャラリーアートサイト 

滋賀県五箇荘生まれの写真家・川内倫子が、たねやグループ発行の冊子『La Collina』の為に、近江八幡で撮影した写真作品を再編集して展示します。 川内の作品は不思議と日常との親和性を感じさせてくれるものであり、その土地に伝わる伝統的な祭事......
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5.MUSUBU SHIGA

『MUSUBU SHIGA』@ライトギャラリー

滋賀県の魅力を新しい視点から発信する「湖と、陸と、人々と。 MUSUBU SHIGA」プロジェクトでは、デザイナーや専門家とともに、滋賀に暮らす人々がこれまで培ってきた魅力をリサーチし、その様子をお伝えしてきました。本展示では、リサーチの......
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6. 空想 MUSEUM

 『空想MUSEUM』@G103

本展に向けて立ち上げたプロジェクト授業では、本学芸術学部デザインプロデュースコースの学生が、滋賀県ブランディングディレクター服部 滋樹の指導のもとブランディングデザインの視点からリサーチの手法を学びました。生糸を素材とした和楽器の弦、雁皮紙......

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