セイアンアーツアテンション　VOL.1
「SITE SITE SPECIFIC 近江の水・山・祈り」

グローバリゼーションやインターネットによって地球規模での組織化が爆発的に進んでいる最中、逆に宗教や民族の問題が大きくクローズアップされています。今日私たちは自らの文化や精神性を深く考えてみる必要に迫られているのではないでしょうか。世界の調和を考えるとき「芸術」の持つ重要性にふと気がつきます。なぜならば芸術という分野は、世界共通の平和的な社会基盤であると同時に、それぞれの文化の特質を横断的かつ総合的に表し、そして未来に向けての提言力を持つものであるからです。
　　滋賀県唯一の芸大である成安造形大学は、2008年4月より附属近江学研究所を開設し、近江（滋賀県）という地域が持つ風土・文化を検証しています。この場所の特殊性に関する研究は、私たちに与えられた大きな使命だと自認しております。全国でも類いまれな美しい自然環境と豊かな文化資源に恵まれた近江の固有性を深く掘り下げることにより、普遍的な価値観を見い出せるのではないかと思われるからです。芸術の起源はその民族の自然であり、歴史であり、宗教なのです。
　　秋の芸術月間では、近江において特徴的な豊かな水、それを取り囲む山々、そしてその豊かな自然に根ざす祈りなどをテーマに企画されたユニークな展覧会がめじろ押しです。附属近江学研究所の活動や研究成果の報告を中心としつつ、近江学研究所に関係する学外研究員や本学教員によるコラボレーション、近江を主題に作家活動を続けているアーティストなどを取り上げます。さらに、地域の方々と学生が語り合うワークショップ、シンポジウム、関連講座など多彩に繰り広げられます。

［セイアンアーツアテンションは、毎年の春と秋に成安造形大学【キャンパスが美術館】が芸術月間として、企画運営する総合芸術祭です。※ Attention＝注意、注目する ］