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未来社会デザイン共創機構

【SEIANドリームプロジェクト】令和4年度採択テーマ紹介⑥《私と貴方 私と社会がつながる共有空間の制作(仮)》

2022.08.26

前回に続き、今年度SEIANドリームプロジェクトで支援する学生の研究テーマをご紹介します!

SEIANドリームプロジェクト概要はこちら

 

《私と貴方 私と社会がつながる共有空間の制作(仮)》
研究生 ナカスジミナミ

学生時代から紫を纏い、紫を広める作品制作を続けている本学研究生のナカスジミナミさん。
昨年度の卒業制作では自身が纏う紫の服が床、そして壁一面へと広がる大作《私は紫になり、ここが私になる》を制作されました。

《私は紫になり、ここが私になる》2021年制作

3月に美術領域現代アートコースを卒業したナカスジさんは研究生として大学に在籍し、現在も制作活動を続けています。
今回の研究・制作では“多様な表現と価値観が共存し合う共有空間”をまちなかに作り出すことを目指し、展示空間づくりに取り組みます。

 

●これまでの制作と“紫”

ナカスジさんは近年の作品のほとんどに紫色を用いています。
普段身に付けている服やアクセサリー、持ち物まで紫に囲まれている中筋さんにとって“紫”はありのままの自分でいられる大切な色だそう。
中学時代、自分という人間を否定されるような環境に置かれたことにより患った病気の影響で紫のアザができるようになったというナカスジさん。身体に現れた紫を見て生きている実感が湧いたという経験から特別な色として制作にも紫を用いるようになりました。

高校から美術科に進み、油絵や日本画といった平面作品を制作。大学へ進学後も美術領域洋画コースに在籍し絵画制作をしていましたが、自由課題が出たときに何も思い浮かばず、純粋に「描きたい」と思えなくなったそう。
同時期に履修していた現代アートコースの彫刻作品を作る授業で初めて絵の具以外の素材に触れ、意外なものが材料になる驚きや立体作品を作る楽しさに触れ魅力を感じました。
授業内では展覧会も開催。将来作家として活動したいと考えた時、作品を作るだけでなく発表する場づくりを学ぶことも必要だと感じ転向を決めました。

その後はこれまでの絵画制作に留まらず、立体作品やインスタレーション、服飾などさまざまな制作をおこなっています。

 

●計画 開かれた展示空間の制作

今回、SEIANドリームプロジェクトの支援を受けておこなうのは開かれた場所での展示・体験の場づくりです。

現在も卒業制作で取り組んだテーマを続け、衣服や布を材料にした制作をおこなっているナカスジさん。
本作には作品と「鑑賞者の境界を曖昧にしたい」という目的があり、卒業制作展では常に作品の一部として会場に立ち続け、鑑賞者と対話をしたり作品に触れることを許可するなど新たな試みもおこないました。

6月に開催した個展『群らになって咲き続ける身体』でも紫の服や布を空間全体に散りばめるような展示をおこない、踏んでも触ってもいいというように鑑賞を制限しない自由な見方を促しました。
すると子どもが走り回り作品を混ぜるような光景があったり、近所から紫の服や布を提供してくれる人が現れたりと躊躇なく作品や作家に関われる空間が出来上がっていたことに手応えを感じたそう。

個展『群らになって咲き続ける身体』展示風景
  会期:2022年6月7日(火)~6月12日(日) 会場:TANADAピースギャラリー

そんなナカスジさんなりの鑑賞体験の提供には「展覧会や美術に対する敷居を低くしたい」という思いがあります。
美術館やギャラリーでの展覧会のほとんどは作品がガラスケースに入れられていたり、鑑賞ルールがあったりとなんらかの壁があると感じていたそう。
今回はできるだけ鑑賞者と作品の間にある隔たりをなくし、これまで接点がなかった人でも気軽に美術に触れられるような場づくりを目指します。

ギャラリーや美術館といった作品を見てもらうための場所ではなく、目的が限定されない公共空間での展示を想定しており、作品を鑑賞してもらうというより作品を“体験してもらう”ような展示やワークショップを計画中とのこと。
これまで美術と縁がなかった人々の日常に入り込むような場づくりや自由な鑑賞体験の提供は美術を拡張するだけでなく、対象が忘れかけていた純粋な感覚や衝動を呼び起こすことができるのではないでしょうか。
どうぞご期待ください!

 

※ご紹介している計画やタイトルは現段階のものであり、今後の進行上一部変更になる可能性があります。

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