自然学最終日!自然学トーク行われる

2012.09.27

自然学トーク 滋賀県立近代美術館との連携展覧会「自然学|SHIZENGAKU-来るべき美学のために-」の最終日(9月23日)に最後のトークイベントが行われました。 第1部のギャラリーツアーは11:00から開始。出品作家(岡田修二・木藤純子・Softpad・馬場晋作・真下武久)が約30名の参加者を迎え企画展示室で解説を行いました。

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最終日のギャラリーツアーの様子

第2部は13:00から精神医学や人類学、哲学を専門とされるゲストをお迎えしてレクチャーと出品作家とのディスカッションが行われました。 はじめに一人40分という持ち時間でゲストによるレクチャーが行われ、それぞれの専門領域において「自然」が語られました。

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岡田修二「自然学」プロジェクトリーダーが進行役で第2部がスタート

三脇康生先生(仁愛大学大学院教授 精神医学・美術批評)は「自然とのネゴシエーション/ネゴシエーションという自然」というタイトルでギブソンやティム・インゴルドの思想を紹介しながら、はじめに「自然」が在るのではなく、対話や交流、交わりの中でしか「自然」とは出合えないという意味でのネゴシエーション(その一つとしての美術)の面白さについて話されました。

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三脇康生先生(仁愛大学大学院教授 精神医学・美術批評)

松嶋健先生(京都大学人文科学研究所研究員 人類学)は西洋の自然を象徴する女神としてのアルテミスから話を展開され、狩人における人間と動物の相関関係の中で、単に人間が動物を獲物として獲得したのではなく獲物という対象の動物からその身体を贈与されたという感覚を持っていたと興味深い話をいただきました。

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松嶋健先生(京都大学人文科学研究所研究員 人類学)

廣瀬浩司先生(筑波大学准教授 哲学)は、感覚のみをたよりとしながら、その感覚そのものを否定し、そして芸術こそが哲学であるとするフランスの哲学者メルロ・ポンティの哲学を中心に、セザンヌの描いた自然をスライドで紹介。感覚から出発し、そして感覚を超えたリアリティーを創出することがセザンヌのテーマであり、それを感覚と存在の隙間(すきま)であると解説、同時にメルロ・ポンティの著書からの引用を資料でたっぷり紹介され、短い時間で濃密なお話をいただきました。

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廣瀬浩司先生(筑波大学人文社会学系准教授 哲学)

その後、岡田修二「自然学」プロジェクトリーダーが先生方のレクチャーをまとめつつ出品作家とのディスカッションが行われました。岡田教授は、それぞれ違ったフィールドでご活躍の先生方に短い時間でお話しいただき、それをまとめるのは非常に困難であるが、本日このように先生方の話を伺ったことで、今回の展覧会に出品した作家たちが、自然の中に溶け込み、自然と対話して表現に繋げ、そして自然に対する様々な問いかけをおこなっていることを改めて理解することができ、有意義な時間を過ごせましたと、ディスカッションをまとめられました。

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ディスカッションの様子

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会場の様子

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