学部共通ほか

卒業制作展2018レポート 【メディアデザイン領域・前編】

2018.08.25

五感を駆使して伝えるメディアデザイン領域・前編

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メディアデザインって何?

卒業制作展2018レポート、今回は堀川御池ギャラリーと京都シネマで行われたメディアデザイン領域編です。まず、前編は堀川御池ギャラリーの展示を紹介します。
 現在のコースで言うと、情報デザイン領域にあたりますが、2018年3月までは写真、グラフィックデザイン、映像・放送、アニメーション・CGの4コースからなる領域でした。メディアデザインとは、様々な媒体を用いて情報やメッセージを発信すること。わかりやすく職業で言えば、デザイナーやカメラマン、アートディレクターなど。言葉以外の方法で、言葉よりもわかりやすく、伝わりやすく情報をデザインすることを学んでいます。



見えないものを、見えるように

 情報をデザインする目的のひとつに、”見えないものをかたちにする”ことがあります。例えば、優秀賞「Graphic Score」(村上万季さん/グラフィックデザインコース)は、耳で楽しむ音楽を、目で楽しめる絵本で表現。

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音の情報(譜面)は、特定のスキルを持った人にしか、視覚から音を想像することはできません。また、音そのものは聴覚から得る情報なので、目には見えません。楽曲ごとにグラフィカルな図形に変換された譜面は、アップテンポで音が複雑な曲なのか、繊細な曲なのか、どこで盛り上がるのか、目で見て直感的に音を想像する楽しさがあります。

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商品化希望!魅力的なツールの数々

なかにはすぐに商品化できそうな完成度の高いパッケージのものも。佳作「もしものとき、どう行きたい?」(今川優美さん/グラフィックデザインコース)は、最近注目されつつある生前の意思表明書「リビング・ウィル」を親しみやすく、誰でも簡単に使えるようにと制作したキット。

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滋賀県大津市で活動する在宅療養サポートチーム・チーム大津京の協力を得て、「リビング・ウィル」がなぜ必要なのか? どういった役割があるのか? 専門的知識を踏まえてつくられていました。

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ほかにも、花言葉に乗せて想いを伝えるレターセット「一輪箋」(古屋舞子さん/グラフィックデザインコース)

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眠りに落ちる前のまどろむ瞬間をかたちにしたステーショナリー「yötä」(長倉志皇里さん/グラフィックデザインコース)など、その場で購入したくなる作品も。

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視点を変えて、世界を変える

見慣れたものや、当たり前のように捉えられていることも、視点を変えるとガラリと違った世界が浮き上がってきます。奨励賞「こんにちは!コンプレックス」(中村莉菜さん/グラフィックデザインコース)は、誰もが抱くコンプレックスがテーマの作品。

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モニターの映像は、その人自身がコンプレックスを感じている顔のパーツが、モーフィングを使ってどんどん他人の顔パーツに変化していくというもの。じっと見ていると、一体どのパーツが本人のもので、どのパーツが他人のものなのか、わからなくなります。というより、本人が感じているコンプレックスは、他人から見ると何でもないというか、気にならないものなんだな……と再確認します。

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「コンプレックスなんて気にしなくていいよ!」と言葉で言われても、安っぽい慰めにしか聞こえないものですが、こうしてひとつの現象で見ると「あ、なるほど。そういうものだよね」と妙にストンと納得してしまう。これがメディアを使ってメッセージを発信することの強さかもしれません。

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そのほかにも、VRを使った推理ゲーム、アニメーションを見る空間にもこだわったりと、それぞれがメディアを使った自分なりの方法論を見つけ出し、楽しさやメッセージが”届く”かたちにアウトプットされていました。

取材日:2018/03/03
取材・文:小西七重
写真:加納俊輔

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