学部共通ほか

卒業制作展2018レポート 【総合領域編】

2018.08.25

”あるといいな”をかたちにする総合領域編

総合領域 デザインプロデュースコースってどんなところ?

デザインやアートの世界を広く知り、埋もれた価値を見つけ出し、さまざまなモノ・コト・をむすびつけ、ひとつの何かにまとめる。それを社会に伝えていくのがデザインプロデュースです。制作する「作品」自体に最終目標を置くのではなく、企画やアイデアを練り上げ、コミュニケーションをとりながら、社会に提案していく力、伝えあう力を、4年間で学びます。
*総合領域は2018年度より、「デザインプロデュースコース」から「総合デザインコース」に改変し、カリキュラム内容も変更されています。



短歌の面白さ、楽しさをアニメーションに!?

卒業制作展2018で発表された作品から、いくつかピックアップして紹介していきます。

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まずは、優秀賞「tankanime」(中塚美里さん)。「tankanime」とは、短歌とアニメーションを組み合わせた造語。何気ない日々の一瞬を切り取る現代短歌にスポットをあて、夜が明けてから日が暮れるまでの時間帯のなかで6つのアニメーションが繰り広げられる作品です。

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5・7・5・7・7のわずか31音で構成される短歌には、ひとつの物語ほどの情報量が詰まっている……そんなことに気付かされ、短歌という言葉を研ぎ澄ませた表現に興味が湧いてきます。



新たな価値を生み出す小さな展覧会

 続いて、奨励賞「写真家アルベルト・レンガー=パッチュについて」(張 寿響さん)。

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20世紀前半にドイツで活躍した写真家アルベルト・レンガ―=バッチュを研究し、文献や作品、自ら執筆した研究論文や年表などが自作の棚に展示されています。この6面の棚でひとつの展覧会が行われているようでした。



興味を持ってもらう”入り口”が整えられたトータルデザイン

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佳作「土−陶−茶 つながり、広がる記憶」(久次凪沙さん)は、成安造形大学がある滋賀県の文化と土の関わりをリサーチし、関連性をまとめたリーフレットと資料を展示。

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信楽焼の原料となる粘土層の土や、近江茶などが、博物館の展示のようにわかりやすくデザインされ、思わず「ふむふむ、なるほど」と見入ってしまいます。



制作プロセスはプロの現場に近いかも?

ほかにも、12ヶ月の誕生花をモチーフにした和菓子パッケージの提案「はなきり」(谷口彩香さん)。

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福井県敦賀市の魅力をPRしつつ、地元の子どもたちに生まれ育った故郷を大好きになってもらう目的で考案した「福井すくすくアートプロジェクト」(濱野諒子さん/龍門さくらさん)など、4年間で見つけた各自のテーマを掘り下げ、提案・実施を行う総合領域の展示はジャンルレス。

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助成金を受けて実施した地域プロジェクトのプレゼンテーション、子どもたちを対象にした教材キットの提案、実際に制作・運用されたスイーツショップのPRツールなど、企画・リサーチ・デザインを独自の視点で掘り下げたものが展示されていました。
 グループワークも多い総合領域らしく、なかには他領域の学生に写真やイラストを依頼して制作されたものも。プロフェッショナルな現場では、その道のプロに依頼してものづくりを行うことが一般的。プロジェクトともなると、多くの人が携わります。目指すゴールに向けてスタッフを束ねて導く能力も、プロデューサーやディレクターに求められること。学生時代にそういった経験が積めるのは貴重かもしれません。

取材日:2018/02/11
取材・文:小西七重
写真:加納俊輔

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