【SEIANドリームプロジェクト】令和4年度採択テーマ紹介①《デザイン、プロダクトで⾏動変容を起こす》
今回から複数回に分けて、今年度SEIANドリームプロジェクトで支援する学生の研究活動についてご紹介します。
《デザイン、プロダクトで⾏動変容を起こす》
おおきにトビケラさんプロジェクト
総合領域の学生からなるグループで活動するおおきにトビケラさんプロジェクト。
今回は代表者の総合領域4年生の西村清美さんにお話を伺いました。
●おおきにトビケラさんプロジェクトとは?
プロジェクト名にも含まれる「トビケラ」とは、京都府宇治市の宇治川流域に春から夏にかけて大量発生する虫です。
不快被害の声が多く、市民や観光客からのイメージが良くないトビケラですが、実は川の中で過ごす幼虫時代には珪藻類やプランクトンを食べることで川を綺麗にしてくれるありがたい存在。
あまりいいとは言えないトビケラに対する印象をデザインやプロダクトの力でプラスに変え、共に生きていく意識をもたらすことを目指し、トビケラへの感謝を表す京言葉を用いて「おおきにトビケラさんプロジェクト」と名づけ活動をしています。
この活動が始まったきっかけは西村さんとプロジェクトメンバーの高木さんが3年生の時に履修した、地域が持つ価値をもとに商品開発・企画を行うトータルデザインの授業でした。
それぞれの地元の課題や特性を出し合う中で宇治市出身の高木さんが提案したのが、トビケラによる不快被害と、そのトビケラが実は川を綺麗にしてくれる存在であるということ。
西村さんは虫がとても苦手ですが、トビケラの話を聞いて、“虫”というだけで苦手意識を持ってしまい、その存在の価値や生態を知ろうとしていなかったことに気づいたそうです。
そこで「抵抗感なくトビケラのことを知れるきっかけを作りたい!」という思いからこの課題に取り組み始めました。
授業終了後も精力的に活動しており、宇治環境フェスタへの参加や宇治小学校での講演、オンラインイベントの開催など実績も豊富です。
↑2021年宇治環境フェスタへの参加
↑宇治小学校での講演
●これまでの制作物(一部)
↑ソフトクリームカバー
宇治川周辺は観光地でソフトクリームが多く売られており食べ歩きに人気。
SNSなどで不快被害をリサーチしていた時に多数見つけた「ソフトクリームとトビケラをどれだけ食べたか…」という衝撃的な意見をきっかけにトビケラからソフトクリームを守るためのカバーの制作に至ったそうです。
宇治市の岩井製菓さんをはじめ、商店街の方々にご意見をいただきながら、現在も改良中。
↑漫画
どんな人でも気軽にトビケラのことを知ってほしいという思いから制作し、小学校での講演会やイベントで配布。現在増刷に向けて協賛金を募っています。(7月16日まで)
*漫画増刷のための協賛金についてはおおきにトビケラさんプロジェクトTwitterにてご案内しています。
↑活動紹介パネル
環境のことを考え、再利用できる段ボールを用いてパネルを制作。
活動の際に持参し、プロジェクトの周知に役立てています。
総合領域ニュースサイトでも紹介されています!ぜひご覧ください。
●計画① 期間限定ショップのオープン
今回SEIANドリームプロジェクトの支援を受けながら目指す活動の1つは期間限定ショップのオープンです。
活動を始めた当初はトビケラを知る場づくりとしてショップを企画していましたが、現実的に難しいと諦め、イベント参加や、行政・お店へ協力してもらいプロジェクトを広めることにシフトチェンジ。
そうして活動をして約1年。人脈が広がり、活動を知る人も増えてきたことから、この度、当初思い描いていたショップオープンを目指します!
これまでの活動で出会った人から「今まではトビケラを見ると“嫌だな”としか思わなかったけど、おおきにトビケラさんプロジェクトのおかげで、見かけるとなんだか嬉しくなって写真を撮ろうと思うようになった」という声を聞き、自分たちの活動でみんなの意識を変えることができていると手応えを感じたという西村さん。
環境に関心のある人やボランティア活動をしている人の行動変容を実現できた今、次は宇治市に住んでいる地元の人たちなど大衆にアプローチをしたいと考えました。
そこで企画をしたのが、生活雑貨の展開です。
モノが広告となってプロジェクトが拡散され、より多くの人にトビケラを知るきっかけを提供することをねらいとし、前述したソフトクリームカバーのほか、帽子やTシャツ、エコバッグ、ステッカーなど誰もが使えるトビケラ雑貨商品の制作・販売を予定しています。
西村さんは、プロジェクトメンバーにとってショップオープンは1番やりたかったことであり最終目標だと意気込んでいました。
現在企画段階で場所や時期などは未定ですが、素敵なショップをオープンできるよう未来社会デザイン共創機構も全力でサポートします!
●計画② 親子向けワークショップの開催
もう1つの活動が親子向けワークショップの開催です。
参加者でグループを作り、「自分がトビケラになったら…」というテーマでオリジナルストーリーを考え、影絵を制作するワークショップです。
幼虫の時は川の中で生活し成虫になると外に出るというトビケラの生態に着目し、水の中では何を食べているのだろう?なぜ外に出たくなるのだろう?ということを自分がなりきって想像してみることで理解を深めます。
これからトビケラを知る子どもたちに正しい情報を楽しく伝えたいという思いからこのワークショップが企画されました。
これまでの活動を通して知り合った方のお店を会場に、窓越しに宇治川を眺め、実際に飛んでいるトビケラを見ながらおこなうそうです。
さらに参加者にはソフトクリームがプレゼントされ、ソフトクリームカバーも体験できます!
現在参加者を募集中です。開催概要・申込方法については本記事最後の開催概要をご確認ください。
西村さんは、「授業課題で始まったこの活動がこんなにも大きくなるとは思っていなかった。自分たちの活動に対する市民の方々の反応や与える影響を目の当たりにするたびに、意味があるんだと喜びを感じます。活動を通してつながった方がまた次の機会をご提供くださると応えられるように頑張りたい!と思うし、責任感も芽生えました。」と活動の原動力を語ってくれました。
今年は子どもたちを中心に、日常的にトビケラを目にする宇治市民を巻き込みもっと地域に根付いた活動にすることが目標だそうです。
今まで不快なもの、嫌なものだと認識されていたトビケラですが、こうした取り組みを通して認識や行動が変わり、トビケラと共に生きていく意識をもたらせられることはもちろん、このプロジェクトによって人々がつながっていく交流の場づくりにも期待できます。
今後も、おおきにトビケラさんプロジェクトのTwitterや、未来社会デザイン共創機構のTwitterで活動の様子など発信していく予定です。
ぜひチェックしてください!
※ご紹介している計画は現段階のものであり、今後の進行上一部変更になる可能性があります。
おおきにトビケラさんプロジェクト
ワークショップ開催概要
日時
2022年8月1日(月)
14:00〜16:00(受付は13:30から)
場所
朝日焼shop&gallery
*京阪宇治駅より徒歩約7分、JR宇治駅より徒歩約17分
対象
小学生のお子さんと保護者
*兄弟参加も可
参加費
300円
定員
先着10組
*完全予約制
申込方法
メール ookinitobikerasan@gmail.comまで①お名前、②参加人数をお送りください。
協力
朝日焼shop&gallery、宇治婚育プロジェクト
成安造形大学 未来社会デザイン共創機構
おおきにトビケラさんプロジェクト
メンバー
西村 清美(総合領域4年生)
高木 琉音(総合領域4年生)
中西 若菜(総合領域3年生)
SNS
Instagram|https://www.instagram.com/ookinitobikera3/
Twitter|https://twitter.com/ookinitobikera3
問い合わせ先
E-mail|ookinitobikerasan@gmail.com