学部共通ほか

佐伯チズ客員教授による第4回特別講義を行いました

2013.12.02

11月18日(木)、佐伯チズ客員教授によるキャリアデザイン特別講義「Self-Making, Self-Planning」の第4回講義をおこないました。

第4回のテーマは「Think about Others:聞き手について考える」。今回の授業は、話す手、つまり自分自身から観点を転じて、話を聞く側、自分の相手をしてくださる聞き手に焦点をあてたものでした。

佐伯客員教授は、話し手が「弓」だとすれば。話は「矢」、聞き手は「的」にあたると言いました。だからこそ「的を射た」話をしなければならないのです。 わたしたちはふだん、相手は自分の話を聞いてくれているだろうと思いこんで話をしていますが本当にそうでしょうか。相手には聴きたいという気持ちがあるのでしょうか。人間だれしも自尊心をもっているものです。その自尊心が満たされなければ、聞こうという気持ちにもならないでしょう。

佐伯客員教授はこうした聞き手の本質を次の4項目にまとめました。

(1) 飽きやすい(すぐに聞くのがいやになってしまう)
(2) 外的条件の支配を受けやすい(話以外のほかのことに気が移りやすい)
(3) 内的条件が変化しやすい(なにか考えごとをしていることもある)

しかし、聞き手にはすばらしい特質もあります。

(4) 親近性をもちやすい(関心をもって聞こうとする気持ちも生まれてくる)

ですから、こうした聞き手の本質を考え、その対処法をふまえたうえで話すように心がけなければなりません。

佐伯客員教授は外資系の美容関連会社に勤務していたころ、百貨店のなかで美容品を販売するブースの構成を抜本的に改善したのだそうです。それまでは、カウンターをはさんでお客様と販売担当者が対面する米国式が主流だったのですが、カウンターのなかにお客様を招き入れ、販売担当者と直接向かいあう形式に改めました。このブースの抜本的な改善は、お客様、すなわち聞き手の本質をふまえて行ったものです。聞き手の望むところを考え、安心感を与える—これがなによりも大切なことです。

佐伯客員教授は、毎回授業のなかで何冊かの本を紹介しますが、今回はプロ野球選手として活躍した桑田真澄さんの『心の野球:超効率的努力のススメ』(幻冬舎)を紹介しました。この本のなかで桑田さんはこう述べています。「野球選手であろうと、サラリーマンであろうと、大工さんであろうと、一人ひとりに役割がある。その役割を全うする、仕事を通して自分を磨いていくのがプロフェッショナル。」プロになるとは仕事を身につけ、仕事についてしっかりと語ることができること、言い換えれば、創意工夫ができること、オリジナリティが生み出せるということです、と佐伯客員教授は言いました。

佐伯客員教授の特別講義も残すところ、あと1回となりました。佐伯客員教授のお話はどれもあたりまえのことばかりのように感じられます。しかし、その背後には 「知識から知恵を生み出し、戦略から戦術を組み立てる」プロフェッショナルとしての強い自覚をもっているのです。受講した学生たちは、授業終了後も佐伯客員教授の周囲に残り、次々に質問し、また自主的に課題を提出するなど、たいへん充実したものとなりました。

次回、最終回のテーマは「Let’s Practice!:実践」(12/06/木)。在校生のみなさん、次回もふるって受講しましょう。

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