地域連携推進センター

東日本大震災「思い出写真復元プロジェクト」 被災地石巻を訪ねて

2012.03.01

成安造形大学では、京都在住の写真家トム・シュバーブさんと連携し、震災で傷んでしまった写真をデジタル修復する活動を昨年8月、津田睦美先生(メディアデザイン領域写真コース)の呼びかけにより取り組みました。

ここでは修復した写真を持ち主に届ける活動と、実際に被災地である宮城県石巻市を訪問し、現地の方にお話を聞くなど、今後、大学が取り組める可能性を探りに被災地を訪ねた活動と現状を報告いたします。

昨夏の取り組みから、修復した写真を自分自身で持ち主に返したいと強く思う学生(写真クラス3年の松江篤志さん)が、この2月に宮城県で今もなお避難生活をされている持ち主に修復写真を手渡しにいきました。

本学写真クラス3年生はこの時期、個展を開催することが課題となっており、松江君は以前住んでいた仙台で開催することにしました。彼が仙台へ行くことも重なり、写真の持ち主に手渡すことが実現しました。
持ち主にとっては非常に思い出深い大事な写真でした。それを丁寧に洗浄しデジタル修復し、きれいに額装され、蘇りました。それを見た持ち主の方は非常に喜ばれたそうです。

松江君は修復写真を手渡した時「震災の話ではなく、その方と家族の話や身の上話をして盛り上がったことが非常によかった。」と話していました。気持ちを通じ合わすことが出来た瞬間だったのではないでしょうか。

次の日、シュバーブさんとのつながりで石巻在住の被災された方に会いにいきました。現在は実家のお仕事である中華料理店を昨年11月に復帰し、まだまだ市内はガレキ処理などで大変な状況ですが少しずつ生活を取り戻しておられるようでした。

実際に震災と津波で壊滅的な被害を受けた地域や施設、そしてガレキ処理場と変わった学校など案内していただきました。その光景を目の当たりにしてなかなか直ぐにはカメラを向けることは出来ませんでしたが、私達がしっかりと目に焼きつけ、状況を伝え、忘れてはならない、この震災から人間にとって本当に大事なものはなにか、原点から考えていかなければならない。という思いで撮影することにしました。

石巻では次に駅前の市役所防災担当課を訪ね、震災に関するいろいろなお話をきかせていただきました。今回の写真修復に関するボランティア連携活動は1月22日で一旦終了し、以後遺失物写真のインデックス作成にむけ準備段階に入っているとのことでした。また現在はその事業に変わって津波で泥水を被った公文書の修復を行っているそうです。市役所では石巻市全体の被災状況データをいただき、震災時から今に続く復興事業のお話を聞かせていただきました。

遠く離れた私達、成安造形大学が直接できることは多くはありませんが、この事実を忘れることなく伝えていくことや、私たちができうる活動を探し出し持続可能な支援活動を行っていくことが大切ではないかと思っています。

津波の影響が激しかった地域から

高台から被災地をみる

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